ほのかに香るケルトの風
外はかなり寒いので、今日はアイリッシュ・コーヒーを頼んでみた。
ちなみにオレの中での3大ホットカクテルはというと、「アイリッシュ・コーヒー」「ホット・バタード・ラム」、そして「ホット・ウイスキー」(カクテルと言うのかどうか知らないが)となる。
「盛岡のような寒い街では、特に体にしみますよね」
マスターがしみじみと語る。
「そうだねー…」
元々はアイルランドの空港で、出発を待つ飛行艇の乗客の体を温めるために発明されたカクテルだという。
ちなみに、ご存知の方も多いと思うがアイルランドもスコットランドもケルト人が多い国である。
音楽とエンターテインメントを愛し、近代ウイスキーの創始者でもあるこの民族は、神秘的なイメージを持つと同時に、様々な分野で世界に影響を与えて来た。
ウイスキーにコーヒーという絶妙の組み合わせ、そして生クリームの甘さ。オレは、そのすべてに酔いながら考えた。
「オレ、前世はケルト人だと思う時があるんだ」
「ハ?」
マスターがアイリッシュ・コーヒーのように目を白黒させる。
「ウイスキーが好きだし、米がなくてもジャガイモを主食にして1週間は暮らせるし、昔、スコットランドの風景写真を見たら妙に懐かしかったし…」
「はあ…」
もはやマジメに聞く気はないらしい(笑)。とは言え、カクテルというのは飲んだ瞬間、ちょっとした旅をさせてくれる。
それは、それぞれが持つ歴史を「味」で感じさせてくれるからなのだろう。